ダイナー(NHK BS)|アメリカの大衆食堂に密着 |スーパーチューズデーとアメリカ国民の本音

今年はドキュメンタリー番組の当たり年かもしれない。
本当にいい番組に出会う。とくに海外のドキュメンタリーがいい。

ダイナー」(NHK BS /2016/3月放送)は、アメリカの大衆食堂に密着した
ドキュメンタリー番組。
アメリカの大衆食堂といえば、ハンバーガーやホットドック、ポテトなどを手頃なお値段で食べられる、地域住民の憩いの場所だ。
アメリカ各地のダイナーにカメラを据え、先に行われたアメリカ大統領選のスーパーチューズデー前後に住民がどんな考えを持っているのか話を聞くのがこの番組。

ご存知の通り、今回のアメリカ大統領選は共和党はドナルド・トランプ、民主党はマイケル・サンダースという2人の候補者が事前の予想を超える台頭を見せ、スーパーチューズデーでどこまで支持を伸ばすのかという動向に注目が集まっていた。

とくにトランプ氏は、移民の排斥やメキシコ国境に壁をつくるなど、過激な発言で物議を醸していた。私自身、いったいどういう人がトランプ氏を支持しているのかということに興味があった。

そして、ダイナーには、本当にリアルなアメリカ国民の本音がごろりと映し出されていた。

・・・以降は一部ネタバレあり・・・

例えば。
シェールガスバブルで潤ったある街にあるダイナー。
恥ずかしながら知らなかったのですが、近年の原油価格の下落の影響により、シェールガスバブルはとっくにはじけていたのですね。結果、労働力として街にやってきた人の多くが去り、高齢や貧困で次の場所に行くこともできずにその街にとどまっている人がダイナーに毎日通ってくる。

元労働者の数人が話している内容が印象的だった。
「イスラム教徒の全員が悪いって言ってるわけじゃない。だけど、テロリストは例外なくイスラム教徒なんだよ。この事実をどう思う?」「そうだ、俺たちはもっと声をあげるべきなんだ」

おそらく彼らの実生活にとって、イスラム教が直接的な影響を与えている訳ではないのだろう(原油安によるシェールガスの仕事がなくなるということ以外は)。でも、やりばのない不安・不満をぶつけたい。それが、先の発言へとつながっているように思えた。

一方で都市部にある、洗練された雰囲気のダイナーには
学生を中心とした若者が大半を占める。彼らの関心事は、奨学金の重いローンを背負いながら学び続けることへの疲弊感だ。平等に学びの機会を得られるべきだと考える彼らの多くは、民主党のサンダースに共感をしている。

こちらでも、印象的だったシーンがある。
サンダース支持のある若者が、スーパーチューズデー後に話していた言葉だ。

「私だって、じぶんがあんなお爺ちゃんに投票するとは思わなかったわ。でも、たとえ彼が今回果たさなかったとしても、きっと私たちの誰かがそれを実行するはずよ」

密着していたダイナーに、大統領選の候補者がきて集会をするシーンもあった。
政治家がこういったダイナーに足を運ぶことは、よくあることらしい。
日本だったら大統領選の候補者が(政権の大物?)とつぜん自分の食堂に来たら、びびって何も言えない人が多いだろうが(私も何か言える自信はない)、ダイナーでは誰もが候補者に対して握手をしながら自分の希望や要望をはっきりと話していた。

地域の違い、人種の違い、年代の違い…。彼らをとりまく環境が政治への考え方に大きな影響を及ぼしているのだということが、よくわかる。国民性の違いで片付けてしまえばそれだけだが、政治や国際情勢は遠い場所のことではなく、自分たちの生活と地続きなんだと感じられた。

いい番組でした。また再放送しないかな〜。

・ダイナー
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2779234/

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